自己紹介で大事なこと

 外国人の方に日本語のレッスンをしていると、

必ずと言っていいほどやるコンテンツのひとつとして、「自己紹介」がある。

日本企業に入社予定の学生を教えているので、

入社した際に、企業で初めて人と会う時の自己紹介を練習するのだ。

 

自己紹介では何を言うべき、というのは沢山ネットに出ているので

話すお題目はそちらに譲るとして、

私がいつも学習者の方にお伝えしているのは以下の3点を大事にしましょう!と伝えている。

 

①どんな印象を残したいか

②記憶に残るエピソードは何か

⓷笑顔と声

 

まずは、①のどんな印象を残したいか。

よくレッスンのテキストでは、自己紹介の内容が規定されていて、

名前、出身、在日期間、何か一言、終わりの言葉

などとされている。

よくこれをこのまま話してしまい、自己紹介とするケースがあるが、

びっくりするほど仕上がりがつまらない。

ので、私は学習者に必ず、自己紹介を通して、「どのような印象」を持ってほしいかを考えてもらうようにする。

そうすることで、視点が「話す自分」から「聞く人たち」に移り、

その視点で中身を考えるようになる。

 

例えば、とにかく元気!という印象を残したいのであれば、

そこに重きをおいて話せばいい。声も、内容も。

 

シンプルなことだけど、視点を変えるのは大事なことな気がする。

 

次に②の記憶に残るエピソード。

私は、自己紹介はいかに聞いている人の記憶に残るかが勝負な気がする。

というのも、人はほぼ「話しを聞いていない」からだ。

どこかで8割くらいは聞いていないと読んだことがあるし、

自分もたいがいそれ以上に聞いていない(おい)。

 

そのため、①にも関連することだが、どのような印象を残したいかに加え、

聞いている人の記憶に残るエピソードがあるといい。

 

具体的には、以前研修をした男の子の最初の自己紹介は、

「僕は大学で〇○を学んで、○○が出来ます。それ関係の仕事を頑張ります」的な、

自分の評価をあげにいきたい!すごいと思われたい!という気持ちがこもったものだった。

けど、そんなもので評価があがるわけがない。

仕事の評価は結果を出して初めてされるものだからだ。

 

その学習者と引き続き話していた時に、

「バイトで関西のミナミのレストランで、深夜でクレーム対応を何件もこなした」経験を聞いた。

その時、印象に残るのはそれじゃないか!?ということで、自己紹介に盛り込むことをご提案してみた。

結構話し自体おもしろいし、

外国人なのにミナミのクレームでもまれるってどんな経験よ!ということで、

私が同僚だったら、自己紹介後に話しかけに行ってしまうと思う。

ということで、人の記憶に残すために、

自分らしいおもしろエピソードを、準備しておくと良いと思う。

 

最後の⓷笑顔と声。

いつも忘れてしまうが、なんとかという法則に、

人が話している際に、相手から受ける印象は、視覚・聴覚・言葉のそれぞれ何割程度でしょうというのを調査したものがある。

あ、思い出した。メラビアンだったと思う。

 

その結果は、視覚が約5割、聴覚4割、言葉1割(ざっくりの数字だけど)だった。

要は、いくら言葉で美しいこと、おもしろいことを言っても、

自分の表情や声のボリューム、トーンがそうでなければ

一切伝わらないということ。

 

特に外国人の方の自己紹介の場合は、

日本語を間違えないようにとか、敬語を正しく使うとか、

他の事に意識が行きがちなので、

それよりもこっちが大事だよ!と伝えるようにしている。

 

かくいう私はあまり自己紹介が得意なタイプではない。

でも、なるべく印象に残るエピソードを、ということで、

この仕事を始めたきっかけ・思い(自分が異文化適応で苦労したので、

少しでも日本にいる外国人の生活がゴキゲンになるように、お手伝いがしたい)というのを

熱く語るようにしている。

 

でももうちょっと練習しなきゃね。